カテゴリ:映画に想うこと( 16 )

これもひとつの側面


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 「白砂糖を使わずにお菓子がどれくらい作れるのか」とふと思い立ち、あれこれ試している最中であることを時々このブログでもご紹介していますが…

 先月友人とランチをしたときに目にした「シュガー・ブルース」というドキュメンタリー映画のフライヤー。チェコの映画監督・アンドレアが「妊娠糖尿病」であることを宣告されたのを機に「砂糖」に疑問を持ち、3大陸8ヵ国を巡って取材したとあります。キャッチーなコピーが並んでいることに少々疑問を持ちつつ、迷いつつ、公開終了直近ということでやはりこれは観ておくべきかなぁと出かけてきました。

 いろんな情報を取捨選択できる時代と環境にあって、いまや「ライフスタイルの演出」として「食生活」を見直すひとも増えていますね。少し意識をして調べれば、どんどん集まってくる「それまで知らなかったこと」。興味深く思えることも、ちょっとヒステリックだな、と思うことも。無知でもいけないけれど鵜呑みにするのも、ちょっとね、という想い。

 この映画で描かれていることも、まさにそれ。これまで語られてこなかった「事実」がたくさん散りばめられていて、あぁこの映画に興味を持ってよかったと思う反面、「事実の表現の仕方」はやや偏っているかなと思ったり。さまざまな専門家へのインタビューで紡ぎ出された言葉たちを、どう編集してひとつのドキュメンタリーにまとめるのかという点で、アンドレア監督ご自身の性格なのか、こういうテーマを扱うことにつきものの表現なのか…と思いながら観ていました。


 
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 長く「お菓子」の世界に身を置いてきた者としては、「市販のお菓子」に比べて甘さ控えめにすることは常に考えていても、「砂糖をまったく使わない」という発想はありませんでした。「食」に関して何らかのポリシーやスタイルを徹底する意識でなければ踏み込んではいけない領域のようにも思っていたのです。

 それでも、教室を長く続けてきたことで見えてきたこと、通ってくださっている方々の中に、ご家族やご自身の健康への想いから、さまざまなリクエストを頂くことも増えて来て、「領域」という観念はなくしてもいいのかも、と思えるようになりました。「コミュニケーションのひとつとしてのお菓子作り」をテーマとして始めた教室なのですから、さまざまなカタチがあっていいよね、と。

 今までのように、「砂糖ならではのお菓子作り」は残しつつ、「置き換えられるものは置き換える」お菓子作りもご紹介してゆけたらいいなぁと考えています。急激な方向転換ではなく、それこそ、「選択肢を増やす」という感覚で。

 夏の初めに考えていたこと、休暇の間に試作しながら思ったこと、そしてこの映画を観て感じたこと。わたしのなかではすべて繋がっています。特定のものを排除するのではなく、さまざまな方法を探りながら、なるべくいろんな側面からアプローチできればと思っています。

↓直接お菓子のハナシではないけれど…
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by farine12 | 2016-08-25 09:41 | 映画に想うこと | Comments(0)

破茶滅茶なのに、温かい。


 久しぶりに映画のことを少々。

 映画館で映画を観たいな、と思って、上映終了間近のとある作品と、公開直後の某作品としばらく迷って、せっかくだからこっちにしよう!と決めたのが、宮藤官九郎さん脚本・監督の 「 TOO YOUNG TO DIE!! 」でした(笑)。

 粉工房に通ってくださってる方や粉工房通信をご覧になってる方から見ると、普段あんなに秦さん秦さん云ってるのに「なぜそのチョイス?」とツッコミが入りそうですけど…ね。

 全体的に破茶滅茶だし、「おとなの女性」の視点から見ると眉をひそめてしまうようなシーンもあるのですけど、そんなのはもう、序の口、というか、それ以上の印象的なシーンがてんこ盛りで、あっという間に忘れます(笑)。

 「莫迦莫迦しいにもほどがある」ことをあんなに大真面目に作る宮藤さん、格好いい!長瀬くんもほんとうにいいキャラです。CMの浦ちゃんで大人気の桐谷くんも、もはや顔芸の域に到達。そしてあんなチャラくてイラッとする神木くん見たことない!みんな魅力的で、ちょっとした役で出てくる人たちもとても豪華です。

 ほんとうはまだ誰も見たことのない筈の地獄と天国をこんなにポップに描けて、そして誰もが知る現世をこんなに切なく温かく描けるなんて。ときに圧倒され、ときに大爆笑し、うっかり泣きそうになったり。大迫力のバトルシーンもあり、禍々しい映像もあり、で、確かに疲れましたが、なんとも爽快な気分で映画館を後にしました。

 宮藤さんの監督作品は意外と観ていなくって、ずっと以前に脚本を担当されていた「GO」と「ピンポン」を観た程度。あんなに注目されていた「あまちゃん」ですらリアルタイムでは見ていなくて、年末のダイジェスト(?)で初めて見て「そりゃぁ、あまロスって言葉もできるよね」と納得したものでした。永遠の少年かと思うようなノリの良さと莫迦っぽさ、思慮や分別を身につけ、ほろ苦さを伴って模索する青年期の倦怠、まだまだこのままじゃ終われないと奮起するおとな。そんなさまざまなパーツが滲み、溶けあった脚本に、あのメンバーでなければ成立しなかったパワフルさと底抜けの明るさと、同時に溢れる切なさと。ちょっとうるさいのですけど(笑)究極の人生賛歌の映画だなぁと思います。

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by farine12 | 2016-07-09 00:05 | 映画に想うこと | Comments(0)

映画 「あん」


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 以前生徒さんにお借りした本「あん」。映画化されると今年知って、気になってはいたものの、どうしようかなぁと迷っていたら…大好きな秦基博さんが主題曲を書き下ろすと知り、これはやはり映画館でその歌声を聴かなくては!と出かけてきました。





 どんな内容かは貼り付けた予告編で観ていただくとして、原作を知っていて映画化されると、キャスティングで違和感を覚えることが往々にしてありますが、今回の「あん」に関してはもう…「凄い!」としか云いようがありませんでした。みんなほんとうにあってる!樹木希林さん演じる「吉井徳江」の、達観した口調、その背景を物語る壮絶な孤独や偏見との闘いの日々。永瀬正敏さん演じる「千太郎」の、空虚な目、なげやりな気配。内田伽羅さん演じる「ワカナ」の、まだ「外の世界と完全につながっていない」少女の、頼りなげだけど冷静で澄んだ瞳。そして浅田美代子さん演じるオーナーの、身勝手な発言の数々。偏見と差別に満ちていることに、全く気がついていない人間特有の、正当化した物言い、その厭らしさと威圧感。市原悦子さん演じる「桂子」には、逆境に身を置かざるを得なかった人だからこそ到達する明るさのようなものがまとわりついていて。キャスティングはもうほんとうに、ピッタリ。印象的なシーンが削られたりはしていましたが、原作にしっかり敬意を払って丁寧に作られた作品であると感じました。

 そしてそして、秦さんの歌う主題歌!物語のテーマにぴたりと寄り添う、素敵な歌詞と繊細な歌声で、うっかりボロ泣き。

 想いを言葉にして相手に伝えられるのが、もちろんいいに決まっているのですけど、ちょうどいいタイミングと的確な言葉で表現できる機会なんて、実際そうはないのですよね。伝えきれなかった後悔を抱えて生きてゆくからこそ、ほかのひとに寛容になれたりする。一緒に見上げた桜の花や昼間の月に、言葉にならなかった気配の交換をしながら、つぎにひとりで見上げたときにその優しさに気がつく。それがどんな間柄のひとであっても、出会いと別れ、後悔と感謝を繰り返して人生を進めてゆく覚悟のようなもの。秦さんの声、やはりズルいです(笑)。

 まだ公開されたばかりなので、具体的なハナシは避けておきますが…ぜひ、秦さんの歌声を聴きに…じゃない、映画を観にお出かけ下さいね。

↓お菓子のハナシじゃないけれど…

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by farine12 | 2015-05-31 22:58 | 映画に想うこと | Comments(0)

沁み渡る暖かさ。


 寒い寒い毎日、暖かな部屋でくつろぎながら借りてきた映画を観るのがとても楽しかったりします。映画の中でくらい、季節感と逆行するものでもいいかなと考えつつ…気持ちが温かくなるという点ではこちらの映画をすぐに思い浮かべます。「ラースと、その彼女」。





 仕事熱心でまじめで誠実で、本当に「いいひと」なラース、28歳。
ご年配の女性には親切に接することができるのに、同年代の女性とは目も合わせられないくらいに 極度のシャイ。
敷地内に住む兄夫婦に食事を一緒に、と誘われても 何かと理由をつけて断ってしまうほど。

 ある日嬉しそうに「紹介したいひとがいる」と 大喜びする兄夫婦のもとに連れてきたのは、等身大のリアルドールだった…
精神異常を疑ってパニックになる兄と、ひたすらラースを気遣う義姉。
心配をよそに、ビアンカと名づけた(というより、ラースからすれば名乗った?)人形と
ひたすら会話を繰り返し、世話を焼くラースの姿に いつしか町中の人間までもが巻き込まれてゆく…

 ラースの奇妙な行動を受け入れて見守る町の住人もすごいけれど なによりも義姉と医者、この2人の女性が本当に愛情深くて素敵!
ラースに恋心を抱く同僚の女の子も、すっごくいい子だし、 この映画はとにかく女性がみんなイイのです。
いわゆるラブドールであるはずのビアンカも、最初は工場から出荷された状態なので
妙にセクシーなのだけれど、だんだん「清楚で可愛く」なってくるのが「うまい!」としか云いようがありません。

 人形に恋をする、とか、妄想、とかって考えると不気味ですが、内容としては、「人形はあくまで人形のまま」なので 喋ったり動き出したりしないところが好感度が高いです。
なぜ人形だったのか、という理由も、少しづつ明らかにされてゆきます。
ひとりの、晩生で臆病な男性が、ちょっとづつ変化してゆく様子は 本当に清々しいし、「他者と関わる」「自分を知る」ことで やっと自覚したトラウマからどう抜け出してゆくのかも見所です。

 随所に散りばめられたユーモアと、温かさ。 人がひとを想うということ。もうほんと、オススメとしか云いようがないですが。。 ぜひぜひ観て頂けたらいいなと思っています!



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by farine12 | 2013-01-12 18:26 | 映画に想うこと | Comments(0)

映画 「食べて、祈って、恋をして」





 前から友人と「観たいね~」と話していた映画、やっと観にゆけました♪テレビでもいっぱいコマーシャルしていたメジャーな作品を映画館で観るのは…結構、久しぶりかもしれません(笑)。

 原作は未読で、「ジュリア・ロバーツ」「旅」「自分探し」くらいのキーワードしか頭に入っていない状態で観ましたので、前半の、主人公が何故「旅」を選択したのかという理由がいまひとつ実感がわかず…(笑)展開も早く、人間関係の描写も簡単で、主人公が何故「離婚」というところまで考えてしまったのか、その心の機微があんまり伝わってこなかったのが残念に思いましたけれど…。

 「旅」のシーンは、イタリア・インド・バリ島それぞれの「街の雰囲気」がスクリーンいっぱいに広がって、それはそれはエネルギッシュな映像でした。綺麗、というのはもちろんですが、イタリアのシーンでは本当に食べ物が美味しそうで(笑)。映画館を出てから友人と「イタリアンを食べよう!」と即決してしまったほど(笑)。インドの雑踏、その混沌には目が眩みそうなほどでしたが、「祈る」という内なる世界と向き合う静けさもまた、美しい対比で描かれていました。バリのゆったりした時間の流れには癒されつつも、このまま済むはずがないという、破綻を予感させるどきどき感があって…「恋」の本質に迫ってるかのよう、なんて思ってしまったり。

 「内面」という点では、やはり映画よりも原作の方が丁寧に描かれているのでしょうから…そのうち、読んでみようと思っています。先にこの映画をご覧になった生徒さんから「ジュリア・ロバーツの笑顔は女性に元気を与えてくれますね!」のコトバ通り、迷った末に「本当の自分」に辿りついた主人公の明るい笑顔は本当に爽やかでした!知らない世界に身を置いてこそ見えてくる本当の自分。今までの価値観を一度外してみたからこそわかる、自分の在りよう。「ここではないどこか」への憧れを誘う映画でした。

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by farine12 | 2010-10-12 22:29 | 映画に想うこと | Comments(0)

映画 「トイレット」



 「かもめ食堂」「めがね」で知られる荻上直子監督・最新作の「トイレット」。オールカナダロケ、全編英語で進む中、たったひとりの日本人俳優に「もたいまさこ」さん。もともと味のある役者さんですが、「かもめ」「めがね」ともに、すごい存在感でしたので、この映画もとっても期待して観にゆきました!

 性格も雰囲気もバラバラの3兄妹に残されたものは、家と猫と、「おかあさん」が亡くなる直前に日本から呼び寄せた「ばーちゃん」(もたいさん)。英語をまったく話さない「ばーちゃん」との、奇妙にちぐはぐな、それでいて穏やかな日々が淡々と綴られています。

 みんなそれぞれ、問題を抱える3兄妹が、少しづつ、他者と自分自身に向き合ってゆく経過が素晴らしいですし、調和と個性のバランスをどうとるか、など、さりげないようでいてなかなか深いシーンがいっぱい。人物描写も背景も余分なことはカットされた、そっけないくらいに「説明のない」映画に仕上がっていますが「トイレット」というタイトルにかけられた監督の想いは充分伝わってきます。

 ずっと無言を通してきた「もたいまさこ」さんがラスト間際でたったひとこと(正確には、ふたことかな?)発するシーンには館内全体がぴーんと集中した気配が漂って、やっぱりもたいさん凄い!そして「ばーちゃん」が喋るのは確かにあのシーンしかない!!監督凄い!!なんて感心したり(笑)。

 「かもめ」「めがね」でも制作スタッフとして参加されてるフードスタイリスト、飯島奈美さんとのタッグも再び。「料理」のシーンは前作2本に比べると少ないですが、本作でとても印象に残るのが「餃子」。皮から作って丁寧に焼きつける様子がとにかく美味しそう♪久しぶりに作りたくなってしまいました。

 こういう映画を見ると、もっともっと「日常」を楽しく・豊かに・大切に送らないとね…って改めて思います。すこしづつ日が短くなってきたこの頃、夜の時間帯の過ごし方を考え直してみようかな… 

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by farine12 | 2010-09-12 21:25 | 映画に想うこと | Comments(0)

ビタースイート



 もうずいぶん前に借りた映画ですが、ちょうど季節にピッタリなのでご紹介。蒼井優主演の「百万円と苦虫女」。ひょんなことから家に居にくくなってしまった21歳の女の子が、本当の自分と向き合ってゆく過程を描いた作品です。

 「百万円」を貯めて、よその町へ。自分の知らない世界へ。それはイコール「自分を知る人のいない世界へ」、という言葉に尽きるのですが、それでも、どうしてもどこかで誰かと関わらずにはいられない。他者の目を通して映し出される自分の姿を時に客観的にとらえようとしつつ、でもなるべくなら見たくない。感じたくない。そんな不器用で意固地な「鈴子」が少しづつ変化してゆく様子が丁寧に描かれています。

 「自分探し、ってやつですか」
 「いや、むしろ、探したくないんです。探さなくたって…イヤでも、ここにいますから。」

というコトバ通り、鈴子本人がすでに「分かっている」ことなのに、本当は逃げる必要なんてないのに、それでも逃げてしまう。強さと弱さの混ざった、若さゆえの一途な想い。それだけのエネルギーがあるなら、もっと別のことができるはずなのに、って思うのは、きっとすでに「通り過ぎてしまった」者の視点だからかな、と思いながら観ていました。

 逃げるきっかけとなったある事件とか、両親との関わり方とか、ちょっと理解しがたい部分はあるのですが、その分だけ、年の離れた小学生の弟とのやりとりには胸が詰まります。本当の意味で「逃げる」という手段を取った方がいいのは弟のほうなのに、小さな身体に勇気と客観性を持った彼は、逃げても何にも解決しないことを悟ってしまってるところがなお、切ない。逃げなくていい姉と、逃げてもいいのに逃げない弟。そのやるせなさも、この映画の大きな鍵となっています。

 ゆらゆらと所在なさげなようでしっかりしていたり、夢見がちのようで現実的だったり、社交性はないけれど妙なところで律義だったり。眺める角度によって印象が変わる、女の子ならだれもが持つ「核の部分」。映画を通してちらりと垣間見えるその姿は、時に甘く、そして苦い。でも、その苦さも含めて「おんなのこ」なんだ、女性へと変化する前の、ほろ苦い思い出たちなんだ…と、どこか懐かしい気分にさえなれるような、そんな映画でした。ある意味ではとことん非現実的、なのにちょっと納得できちゃう不思議な雰囲気は好き嫌いがはっきり分かれそうではありますけれど(笑)。

by farine12 | 2010-08-07 23:58 | 映画に想うこと | Comments(0)

映画 「南極料理人」





 南極観測隊員のための料理人として赴任した西村(堺雅人)の、1年以上に渡る日々を描いた映画。堺さん好きとしては公開前から「これは観なくては!」と決めていました(笑)。

 「かもめ食堂」「めがね」のフードスタイリスト、飯島奈美さんが手がけたということも、観たいと思った理由のひとつ。ウィルスさえ存在しない極寒の地で、日本へ電話をかけるのに1分740円という時代(1997年当時)。「食べる」ことが唯一の楽しみの隊員達のために「これでもか!」というくらいの、腕をふるった料理の数々が並んで…空腹時にはとても観ていられない、まさに食のオンパレードな映画でした。 巨大エビフライやらフレンチのフルコースやらが出てきたかと思えば、おにぎり・豚汁も登場し、はてには(?)手打ちラーメンまで出てくる始末。どれもほかほかと湯気を立てて、とにかく美味しそう!

 映画としては、髭ぼうぼう、髪も伸び放題の男達8人の日々ですから、まぁ予想通りのむさくるしさ(笑)。ストーリー展開だって、淡々としています。特に何か大事件が起こるわけでもなく、それどころか、本当はプロ集団であるはずの各隊員達の「仕事内容」ですら、たいして描かれていません。でも、どこかププッと笑えて、妙にしんみりして、ちょっとだけ元気が出てくるような…そんな感じです。

 そして、あれだけ美味しそうな料理が続々と並ぶのに、ひたすら黙々と、がっついて食べる男達が「美味しい」という言葉を口に出すことはありません。困惑気味に彼らを見つめる料理人「西村」も、感想を聞くことはしていません。今までいろんな「食事シーン」が出てくる映画を観ましたが、これって初めてかも…そう思いながら観ていて、ラストシーン!あぁそうか、上手いなぁ!と思わず唸ってしまいました。

 「誰かのために作る」ということ。「誰かと一緒に食べる」ということ。「食べる」ことに関わる記憶は本当に鮮明に残るんだなぁと、改めて、しみじみ。「美味しさ」は味だけでも、見た目だけでもないという当たり前のことを再認識した映画でした。

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by farine12 | 2009-09-16 23:58 | 映画に想うこと | Comments(0)

映画 「テラビシアにかける橋」




 去年ご紹介した 「聞いてほしいの、あたしのこと−ウィン・ディクシーのいた夏」 に主演したアナソフィア・ロブがすごく好きで観た作品。主人公の少年のお隣に引っ越してきた風変わりな少女の役を好演しています。

 家族の中でちょっとだけ浮いた存在のジェシー。姉と妹に挟まれてなんとなく居場所がない感じ。父親との距離感もなかなか埋まらず、学校では同級生・上級生にからまれて…自分の存在価値をなかなか見出せず、絵を描くことでかろうじて保っている世界。そこへ現れた転校生のレスリーが真っ先に彼の絵を認め、共に「秘密の隠れ家」を作りながら友情を育んでゆくのです。

 閉塞感漂う現実から、想像力を駆使したのびやかな世界へ。共に語りあい、理解しあい、現実世界=学校生活でも少しづつ「居場所」が出来てきた頃に起こった悲劇…打ちのめされるジェシーですが、そこを乗り越えるキッカケになったのは、相性が悪いと思っていた父親だったのでした。

 「こども時代」からの決別として「別れ」をテーマに扱った作品は数多く、大抵はその出来事を境に「振り返らず」に大人への第一歩をがむしゃらに進んでゆくパターンが多いように思います。(「キッド」とか「アトランティスのこころ」とか…)でもこの作品は、楽しかった記憶を封印するのではなく、ちゃんと次の世代へと受け継いでゆく姿がとっても清々しいのです。ひとつの出逢いを通じて開けた世界を、後ろ手に閉めてしまうのではなく、ひっそりと、でも少しづつ、手入れしながら美しく保ってゆくような…そんな温かさが胸を打ちます。

 不器用ながらも自分の居場所を精一杯探そうとしていた頃のこと。他者を思いやる心が出来たときに初めて気がつくひとの心の痛み。自分と向き合い、他者と向き合い、そして自分が今いる世界へ向き合い…そんな「関わる」ことの原体験がきらきらとした映像の中に散りばめられていて、とても切なく美しい作品なのです。原作は30年以上前に書かれたアメリカの児童文学ですが、「橋」という言葉にかけられた想いは、今なお色褪せてはいないのだと思いました。もし見かけたら、ぜひ手に取っていただきたいな…夏休みの今にピッタリな作品だと思いますので。

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by farine12 | 2009-08-03 23:41 | 映画に想うこと | Comments(0)

映画 「天国はまだ遠く」




 去年秋の公開時に、生徒さんからすすめられていた映画。PCでご覧のかたは、ぜひ上の予告編をご覧下さい。携帯では表示されないと思うので、簡単にストーリーをご紹介すると…

 仕事と恋、両方に行き詰ってしまった若い女性・千鶴(加藤ローサ)が誰も知らないところに行きたいと願って、たまたま辿り付いた民宿「たむら」。その主人(チュートリアル・徳井義実)とともに蕎麦を打ったり、魚釣りに出かけたりするうちに、しだいと元気を取り戻してゆく、再生の物語です。

 今までバラエティー番組で徳井さんを見ても、「そんなに格好いいかなぁ?」って思ってたのですが(失礼!)この映画の役柄はもう本当に…素敵なのです!格好いい!飄々としててちょっと辛辣で、いいかげんで、でも「痛み」をよく知っていて。彼自身が抱えている孤独や喪失感に比べたら、千鶴はたぶん何も失っていないように見えるのですが、決して自らを語るわけでもないし、まして何かを諭すでもないし…ただひたすら、自然を感じながら食事を作り、ともに食べる。この繰り返しをしてゆくのです。「生きることは食べること」 「食べることは生きること」なのだと、しみじみと思いました。

 生まれてきたからには、健康な身体で生きているからには、もっともっと頑張らなくてはいけないはずだと、思ってしまう。でも、いつの間にか溜まった疲れが精神と身体の両方にサインを出し始めたら、それはやっぱり何かのカタチで休ませてあげなくてはいけないのですよね。どれくらいの期間の「おやすみ」なのか、そのあいだに「何をするのか」、あるいは「何もしないのか」は、もう本当にひとそれぞれ、疲れの深さにもよるものなのでしょう。この映画のように「食事」をキッカケに元気になれるって本当にすごいこと。これは、お菓子には真似の出来ない部分ですね…あれば幸せで豊かな気分になれるけれど、「生きてゆく」(生命を維持する)のに必要不可欠なものではないですから・・・

 加藤ローサ演じる千鶴の、意外と「お気楽」で「適度に我儘」なのに、どうにも不器用な部分があって、それでいて一見如才なくこなしてゆく感じも、なんだかとっても微笑ましくて。いまどきの女の子って感じなんですよね。わりと淡々とした展開ですが、エンディングも爽やかですから、ぜひぜひ観てみてください。お料理がとにかく美味しそうですから。

 そして↓こちらは、映画の主題曲なのですが、とってもいい曲なので一緒にご紹介。




  ♪ 大丈夫と君は言うけど 心は今どこを見てるの?
    想いだけがひとりごとみたいに
    途絶えた会話をつなぐ

    打ち明けてくれた話にぼくは どれだけ君を見つけられたんだろう?
    過去が心に居座りながら どれだけ君をひとりにしたかな

    また ひとりごと 君がいること
    急がないこと 今 生きてること
    たとえようないこと 君がいるから
    どんなことも ぼくには 今しかないこと

    今 ふたりごと 君といること
    守りたいこと ともに生きること
    強くあるなら 弱くあること
    どんなこともふたりなら ゼロも1になる  ♪

      −熊木杏里 「こと」− 


 柔らかで繊細な彼女の歌声を聴くたびに、なんだかとても揺さぶられるのですが、決して足元からぐらりと揺らぐ不安定さではなくて、大事にしまいこんでいるうちに忘れてしまってた箱を開くような、奇妙な懐かしさを感じます。こちらもまだ若いアーティストですが、心の機微を表現するのがとても上手。どんなふうに年齢を重ねて、どんなふうに幅が広がってゆくのか、すごく楽しみでもあります。

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by farine12 | 2009-06-17 23:08 | 映画に想うこと | Comments(0)

創作スタジオ粉工房のブログ。レッスンの様子や日々のあれこれを綴ります。


by Konakoubou
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