金木犀の香り

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 今年は夏が長かったせいか、金木犀の開花もゆっくりめでしたね。自宅近所には路面と同じ高さでは金木犀がほとんど見当たらなくて、高台のおうちのお庭とか、道路面から高くなっている小学校に植えられていることが多いので、「花」として眺めることがなかなかないのが残念です。姿は見えないけれどふわりと香ってきたり、花殻がアスファルトに散っているのを見て、あぁこの上に在ったんだな、と毎年思います。

 小学生の頃でしょうか。いわゆる「芳香剤」としてキンモクセイがやたらと公共の場で多用されていた時期があり、いつの間にか「本物が偽物のような扱い」を受けていた場面に幾度も遭遇しました。口の悪い男子とか、「あっ、○○のニオイだ!」なんて云っていて、もう、イヤだなぁ!なんて思っていました。非常にローカルなハナシかと思いきや、ある種の社会現象?だったのか、一時期テレビでも話題になっていたように記憶しています。数年で「キンモクセイの香りの芳香剤」は姿を消して、それに伴って徐々に偽物のような扱われ方がなくなったように思います。ふわりと漂う金木犀の香りが、正しく綺麗に「あ、金木犀が近くで咲いてる」という認識に変わって、あぁほんとうに良かった、と思っていました。

 数年前からはハンドクリームやヘアケア剤などで「金木犀の香り」のものをよく見かけるようになって、もうほんとうに嬉しくて(笑)。桜、ローズ、ラベンダー、シトラス、などに並んで、季節の香りとして楽しみにされているのがほんとうに嬉しいです。

 ハナシがちょっと逸れてしまいましたが…

 味覚と合わせて、いえ、それ以上に嗅覚は一瞬で記憶を呼び起こす力があって、プラスにもマイナスにも作用するのがオモシロイというか、ちょっと怖いというか。それは音楽も同じことですけれど。一瞬で引き戻される、という点ではどちらも時に、暴力的だなぁと思います。




「甘い香りを残してまた 秋が来る頃に
 美しい呪いを僕にかけるよ 時を超えて」
    ー長澤知之「金木犀」ー

 
 姿が見えなくても存在感があるあの爽やかな香りを「呪い」と表現する長澤君のセンスが最高に好きです。曲も演奏も美しくて、エキゾチックにループしてゆく感じが、「香り」というものが持つ浮遊感と重なるのも見事だなぁと思います。

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by farine12 | 2023-10-21 23:58 | はなうた♪/Humming♪ | Comments(0)

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