「思い入れのある料理本を勝手に熱く語るコーナー」第2段は、小林カツ代さんの著作から、「小林カツ代のなす大好き」(講談社・1995年6月発行、ちなみに初版を所有♪)です。
子どもの頃は苦手な野菜がいくつかあって、「なす」もそのひとつでした。中学3年生の頃にやっと、苦手を克服して、高校生になる頃には「むしろ好き」に変わりました。思えばあの、アクの感じとか、皮と身の食感の差が子どもには苦手要素だったのでしょうね~(笑)。
シンガポールに行ってからは現地で見かける「なす」はひょろっと長くて色も薄くて、天ぷらにしても炒めてもだいぶ雰囲気が違って寂しく感じたものでした。94年の秋に日本に戻ってきて、わぁ日本のなすは美しいねぇ♪なんて喜んで買ったものの、確かに通年手には入るけれど、やっぱり硬くて・・・これは次の夏を待とう!美味しい旬の時にめいっぱい楽しもうね!なんて家族と話したことを思い出します。満を持してピカピカの「なす」が並び始めた頃に、近所の本屋さんで見かけて目次を見て、さっさと連れて帰ってきたのがこの本でした。(そういえば、あの個人経営の本屋さんもずいぶん前に閉じてしまって、寂しいですね・・・)
高校生になって「なす」の魅力に気がついてしまった頃、「揚げなす」を作ろうとして盛大にはねて、足にコイン大のやけどをしたことがあり(今から思えば足だけで良かったですけど・・・)ちょっと怖くなって炒め物ばかりしていたのですが、この本に「絶対に油がはねない揚げなす」の作り方が出ていて、よく作ったものです。ただ、かなり低温から揚げ始めるので、特にヘタ付近の色が少し抜けやすいかな。安全に、気楽に取りかかれるという点で、もうほんとうに感謝ですけど(笑)。
そしてこちらがいちばん?印象に残っている「なす入り餃子」!!皮を剥いたなすをぐらぐらと茹でて潰し、冷めてから片栗粉を加えておき、練った挽肉と混ぜて包むのです。とろ~りとして滑らかで、カツ代さんおっしゃるとおりほんとうに「いくらでも食べられちゃう」のです。あまりにも滑らかすぎるので、家族から「食べた気がしない」と云われ(笑)他の野菜も加えるようになりました。本では見事に「挽肉と茹でたなすだけ」のレシピなんです。今回の写真にはニラと、パクチーの茎の部分を加えています。あっ、それから、挽肉を練るときに豆板醤も加えているので、お肉の色がやたらと綺麗になってます。
普段ほとんどしない、お料理の断面写真(笑)あれ、でもこの感じだと「とろ~り感」はあまり感じられないですね(笑)。基本「かなりこんがり派」なので、餃子もしっかり焼き色つけたいのですが、これはひとによってはこんがり通り越してるのかもしれませんが。
そうそう、この餃子を作るのに、なすの皮をぜんぶピーラーで剥いてしまうので、せっかくの綺麗な色の皮なのに勿体ないよね・・・ということで、勝手に作ってみた「きんぴら風」も一緒に。ガーリックオイルで炒めて塩と胡麻、仕上げにネギをちょっぴり散らして頂きました♪
いちばん最初は本のとおりに作っても、「その家の味」に変化していくのは当たり前、あるもので代用していい、なんなら味見しながら足していけばいい、というおおらかさに、当時ずいぶんと励まされたものです。それまで本を見ながら自己流で作っていた「お菓子作り」を、きちんと学びに通い始めた頃でした。「正確な計量が基本中の基本」のお菓子とは別の魅力だなぁ、なんて。もちろん、お料理だってすべてがすべて目分量では失敗する原因になりますけど、ね。忙しいひとでも作りやすく、気負いなく「家庭の味」の楽しみ方を広く教えてくださった小林カツ代さん。料理番組でお見かけしていた朗らかで温かいあのお声は今もすぐに思い出します。「なす」のメニューだけで一冊まるごとの本が作れるだなんて、ほんとうにこの方は野菜好きなひとなんですね。今でこそ、ひとつの素材に特化したレシピ本もたくさん並んでいますが、95年当時は相当珍しかったことと思います。今でも大事にしていて、ときどき本棚から出して眺めてはあれこれと懐かしんでいます。
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