恰好良さの基準


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 中学生の頃だったかと思うのですが、 「片岡義男」に嵌ってかなりの作品を読み漁っていた時期がありました。車にもバイクにも関心はなく、乗ってみたいとも運転してみたいとも思わないのに、実在する風景をなぞるような描写や、登場人物たちのちょっとお洒落な会話や、現実離れした日常を淡々と描くところなどに、妙に惹かれたのでしょうね。挿入されるカクテルの数々に「どんな味だろう、おとなになったら絶対飲んでみる!」と決意したり、「おとなへの憧れ」があたかも集約されているかのように思っていたのでしょう。

 そうは云っても「実際にそんな言葉使いはしないでしょ」とか、「うわ~、男尊女卑だ。。」などと反発を覚える作品も多くあったので、ほんとうによくよく考えるとどれくらい好きだったのかわからないのですけれど(笑)恋愛もお酒も実体験を伴う前だからこそ、さらりと軽い内容の短編映画でも観るようなイメージで、いくつかのシーンだけが印象に残り続けたのだと思います。

 かれこれ3年ほど前に、とある短編に登場したお酒の描写を確認したい気分になって、本屋さんで探してみたら…片岡義男を見つけられずにちょっとした衝撃でした。パソコンでもスマートフォンでも、予測変換で「片岡」と入れて出てくる人物リストに「義男」とは続かないですし(笑)。友人が古本屋さんで見つけてきてくれて約30年振りに手に取った赤い背表紙に懐かしく読み返しました。物語の流れもラストシーンも記憶の通りで、そのお酒の描写もほとんど合っていて、自分でもびっくりしたものでした。

 でも…いちばん驚いたのは登場人物たちの年齢設定が相当若かったというところでしょうか。あの頃は大学生でも、そんなオトナっぽかったのね、社会人2~3年でそんなベテランのように達観してたのね、35歳なんて云ったら今で云うところの「美魔女」くらいの扱いだったのね、と。どちらかというと「実年齢よりも若く」いることを目標とする今の風潮から見たら、「成熟したおとなであることの恰好良さ」の基準が明らかに違うんだなぁ、と興味深かったです。

 「お酒の描写」に関してはいつかブログで取り上げたいと思いつつ、なかなかまとまらないまま2年経ってしまいました(笑)。中学生の時に読んで思い描いた女性たちの年齢を遥か以前に通り過ぎたのに、まったくそういう格好良い女性にはなっていないという事実が書きたい気持ちを鈍らせているのでしょうね。それはそれ、と諦めて(笑)秋になってしまう前には書きたいものですが。

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by farine12 | 2018-08-19 23:55 | 思い出の本/Books in my Memories | Comments(0)

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