お菓子の焼ける香り
2015年 09月 18日
予熱したオーブンに出来立ての生地を入れて、タイマーをセットして…台を拭いたり洗い物をしたり、後片付けをしているうちに漂ってくる素敵な香り。数えきれないくらいのお菓子を焼いてきて、当たり前のようにその香りを楽しんでいますが、いつも以上に鼻が利く、という日もあって。
タマゴに火が入ってゆく香り。
砂糖が焦げてゆく香り。
粉が焼けてゆく香り。
フルーツに火が入る香り。
ひとつひとつをすべて感じる時もあれば、どれかひとつが突出して迫ってくる時もあるのですけれど。そして、残念なことに、体調が良くない時に「強く感じる香り」もあって、ある種のバロメーターになっていることも(苦笑)。そういうときは、「あぁ、わたしにはいい香りと思える香りでも、お菓子そのものが苦手な人にとっては、ここから漂っている香りも苦手と思う人がいるんだろうな」なんて思ったりもします。「匂い」「香り」の好みも感じ方も、本来は人それぞれですものね。うっかり、忘れがちですけれど。
ずっとずっと以前、シンガポールで暮らしていた時に、同じ棟の別の階の住人が定期的に焼くチョコレート菓子の匂い(あえてここは、「香り」ではなくて「匂い」と書きますが)に、もうほんとうにクラクラしてたことを、たまに思い出します。当時からお菓子作りをしていましたし、実際チョコには目がなかったはずなんですけれど、何故かその匂いが苦手で。たぶんあれは、バニラの香りとチョコの香りがふんだんに使われている市販のミックス粉で、途中までは「いい香り」なのが、砂糖が焦げてゆく過程でさらにその甘い香りが倍増され、最後にちょっと焦げるチョコの香りがやや煙い感じで(笑)…ブラウニーだったのか、チューイータイプのクッキーだったのかはわかりませんが、とにかく強烈でしたね。普段開けているキッチンの奥の窓を閉めに行ったりするくらい(笑)。
きっとそのひとにとっては、楽しみにしている癒しの時間だったのかもしれませんし、気分がむしゃむしゃしているときだけの「えいっ!!もうっ!!」の発散だったのかもしれませんし、あるいは、ご自分用ではなく、そのお菓子が好きなひとのためだけに、焼いていたのかもしれませんし…真相なんてわからないのですけれど、いまだに、デパ地下などで甘さの強いお菓子の焼けてゆく香りに出逢うたびに、そのチョコレート菓子の匂いを思い出します。お菓子もチョコも好きなわたしでも、あれはキツカッタなぁ…お菓子が嫌いな人にとっては、もう相当凄かっただろうなぁ…と。
教室で焼くお菓子の香りが、ご近所迷惑でないことを願うばかりですが…せめて、あまり大量の砂糖やチョコ、バニラなどの「強い甘さ」を感じるものを焦がさないように、と気をつけている毎日です。
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