映画 「南極料理人」
2009年 09月 16日
南極観測隊員のための料理人として赴任した西村(堺雅人)の、1年以上に渡る日々を描いた映画。堺さん好きとしては公開前から「これは観なくては!」と決めていました(笑)。
「かもめ食堂」「めがね」のフードスタイリスト、飯島奈美さんが手がけたということも、観たいと思った理由のひとつ。ウィルスさえ存在しない極寒の地で、日本へ電話をかけるのに1分740円という時代(1997年当時)。「食べる」ことが唯一の楽しみの隊員達のために「これでもか!」というくらいの、腕をふるった料理の数々が並んで…空腹時にはとても観ていられない、まさに食のオンパレードな映画でした。 巨大エビフライやらフレンチのフルコースやらが出てきたかと思えば、おにぎり・豚汁も登場し、はてには(?)手打ちラーメンまで出てくる始末。どれもほかほかと湯気を立てて、とにかく美味しそう!
映画としては、髭ぼうぼう、髪も伸び放題の男達8人の日々ですから、まぁ予想通りのむさくるしさ(笑)。ストーリー展開だって、淡々としています。特に何か大事件が起こるわけでもなく、それどころか、本当はプロ集団であるはずの各隊員達の「仕事内容」ですら、たいして描かれていません。でも、どこかププッと笑えて、妙にしんみりして、ちょっとだけ元気が出てくるような…そんな感じです。
そして、あれだけ美味しそうな料理が続々と並ぶのに、ひたすら黙々と、がっついて食べる男達が「美味しい」という言葉を口に出すことはありません。困惑気味に彼らを見つめる料理人「西村」も、感想を聞くことはしていません。今までいろんな「食事シーン」が出てくる映画を観ましたが、これって初めてかも…そう思いながら観ていて、ラストシーン!あぁそうか、上手いなぁ!と思わず唸ってしまいました。
「誰かのために作る」ということ。「誰かと一緒に食べる」ということ。「食べる」ことに関わる記憶は本当に鮮明に残るんだなぁと、改めて、しみじみ。「美味しさ」は味だけでも、見た目だけでもないという当たり前のことを再認識した映画でした。