映画 「テラビシアにかける橋」




 去年ご紹介した 「聞いてほしいの、あたしのこと−ウィン・ディクシーのいた夏」 に主演したアナソフィア・ロブがすごく好きで観た作品。主人公の少年のお隣に引っ越してきた風変わりな少女の役を好演しています。

 家族の中でちょっとだけ浮いた存在のジェシー。姉と妹に挟まれてなんとなく居場所がない感じ。父親との距離感もなかなか埋まらず、学校では同級生・上級生にからまれて…自分の存在価値をなかなか見出せず、絵を描くことでかろうじて保っている世界。そこへ現れた転校生のレスリーが真っ先に彼の絵を認め、共に「秘密の隠れ家」を作りながら友情を育んでゆくのです。

 閉塞感漂う現実から、想像力を駆使したのびやかな世界へ。共に語りあい、理解しあい、現実世界=学校生活でも少しづつ「居場所」が出来てきた頃に起こった悲劇…打ちのめされるジェシーですが、そこを乗り越えるキッカケになったのは、相性が悪いと思っていた父親だったのでした。

 「こども時代」からの決別として「別れ」をテーマに扱った作品は数多く、大抵はその出来事を境に「振り返らず」に大人への第一歩をがむしゃらに進んでゆくパターンが多いように思います。(「キッド」とか「アトランティスのこころ」とか…)でもこの作品は、楽しかった記憶を封印するのではなく、ちゃんと次の世代へと受け継いでゆく姿がとっても清々しいのです。ひとつの出逢いを通じて開けた世界を、後ろ手に閉めてしまうのではなく、ひっそりと、でも少しづつ、手入れしながら美しく保ってゆくような…そんな温かさが胸を打ちます。

 不器用ながらも自分の居場所を精一杯探そうとしていた頃のこと。他者を思いやる心が出来たときに初めて気がつくひとの心の痛み。自分と向き合い、他者と向き合い、そして自分が今いる世界へ向き合い…そんな「関わる」ことの原体験がきらきらとした映像の中に散りばめられていて、とても切なく美しい作品なのです。原作は30年以上前に書かれたアメリカの児童文学ですが、「橋」という言葉にかけられた想いは、今なお色褪せてはいないのだと思いました。もし見かけたら、ぜひ手に取っていただきたいな…夏休みの今にピッタリな作品だと思いますので。

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↑参加しています。

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↑お菓子の話しではないけれど…

by farine12 | 2009-08-03 23:41 | 映画に想うこと | Comments(0)

創作スタジオ粉工房のブログ。レッスンの様子や日々のあれこれを綴ります。


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