映画 『恋しくて』

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 片想いの切なさはどんなに人生経験を積んだとしても独特の哀しみがありますが、10代の、「自分らしさ」を模索している頃に経験する片想いは、特別なものとして記憶に残るものなのではないでしょうか。

 87年制作の『恋しくて』 は、高校生の男女3人の恋の行方を描いた作品。2年ほど遅れてビデオを借りてみたら、もうすっかり感情移入してドキドキしながら観たのでした。校内でアイドル的な存在の美少女・アマンダに恋をする絵ばっかり描いている変わり者の男の子・キース。そしてキースに密かに想いを寄せるボーイッシュな女の子・ワッツ。アマンダにはお金持ちだけど不誠実なボーイフレンドが居て、彼へのあてつけでキースからのデートの誘いを受けてしまう。そのことを気づいてるワッツは、キースが後で傷つく姿を見たくないと、はじめはデートを阻止しようとするのですが、しまいには応援する立場にまわるのです。このワッツ演じるメアリー・スチュワート・マスターソンがもう本当にキュートでいじらしいのです。わざとぶっきらぼうに喋り、ちょっかいを出しつつ、心底キースを心配している姿にきゅん、としてしまいます。キースはキースでひたむきにアマンダを想っているし、美人で女の子らしいアマンダにも、彼女なりの悩みや迷いがあって…

 体育の後に更衣室で、いかにも女の子らしい下着を身につけているアマンダを、男物のトランクスを穿いているワッツが見つめているシーンや、アマンダとのデートを前に「もしキスを迫られたらどうする?今のうちに練習しときなよ」とキースに絡むシーンなど、微笑ましくも切ない描写の数々がすごく印象に残っています。

 見た目いかにも不良っぽい少年達が根は優しかったり、やたらキースにまとわりついては余計な口を挟む生意気な妹が途中で変化してきたり、みんながみんな、それぞれ「いいひと」なのもこの映画の魅力です。台詞回しもちょっとお洒落で。キースの将来を思うあまり大学進学にこだわる父の、「お前は若いから人生が分かっていないのだ」との言葉に「人生はいつ僕のものになるの?」と説得するキースのやりとりは、まさに青春という感じ(笑)。ファッションや時代背景なんかも、思い切り80年代、という感じで、同世代にとってはなんとも懐かしい雰囲気に溢れています。

 自分の個性を見つめる時期。他人と比較して落ち込んだり、無理に背伸びしてみたり、はたまた他人を寄せつけない世界にこもってしまったり。やっぱり誰かと繋がっていたいと切望しつつ、誰でもいいわけではない、そんな想いに揺れる年頃。自分は自分で他の誰でもないのだとほんのちょっぴりの勇気を胸に何かにチャレンジしてゆく爽やかさがまっすぐに心に響いてくるような映画なのです。不器用だけれどひたむきな想いに、今観てもきゅんとするのは、誰もがかつて通り過ぎた「あの頃」を知らず知らず重ねてしまうからなのでしょうね。

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↑参加しています。

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↑直接お菓子の話しではないけれど…もしよかったら。。
 
Commented by Ono! at 2008-07-21 00:59 x
先生こんばんは。
このピンク色のケーキ、ほんとにかわいいです。
お菓子に付けた『プリティインピンク』という名前も「あっ、あの頃のあの映画の?」と、お会いしたら一番に聞こうと思っていたことでした。このブログで紹介された『恋しくて』も知る人ぞ知る名作なんですね。
今月も習いたいお菓子がいっぱいなのに、週末はびぃ~~っちり予定が入っていて、ぜんぜんお教室に行けません(涙)カラダがふたつあればなぁ…と思います。


Commented by kona→Ono!さん at 2008-07-22 00:05 x
こんばんは{月}
このお菓子につけた『プリティ・イン・ピンク』は、まさにその映画が元になってます{ルンルン}
その映画のプロデューサーが、今回ご紹介した映画の脚本を書いています。
プリティ・イン・ピンク制作後、どうも納得しきれなかったので、男女の設定を入れ替えて
脚本を書いたのだと聞いたことが…あるような。。
どちらの映画も、家庭環境などを言い訳にしないで自分らしさを最大限表現しようとする
若者の姿にとても共感します。
『なりたい自分』に近づくための創意工夫というのか…とても素敵ですよね{ラブラブ}

メールがないので(笑)きっとご予定がびっしりなのかなーって思ってましたが
やっぱりそうでしたか。。お顔が見れず、寂しいです{グズン}
カラダふたつ、欲しいです!それか、一日の時間がもう少し長かったらいいのに!
…なんて、体力無いくせに思ったりします(笑)。



by farine12 | 2008-07-19 23:51 | 映画に想うこと | Comments(2)

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