思い出の喫茶店

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 中学時代の同級生たちに再会した去年から、当時の懐かしい記憶の引き出しが時々かたん、と開いて、隙間からふわりとイメージのようなものが浮かんでくる瞬間があるのです。切り取られた写真のようだったり、2~3秒の映像のようだったり。景色の時もあれば室内のどこかだったりします。

 バレンタインが終わって一段落したときに浮かんできたのは、どちらも「室内」でした。ちょっとダークな木目調。影と光。カップから漂う湯気。今はもうなくなってしまった、2軒の喫茶店でした。

 ひとつは、ボーイフレンドに教えてもらった喫茶店。何回目かのデートの時に、地元を散歩中に「ここがお気に入りなんだ」と連れて行ってもらったのでした。細長い造りで確かカウンターだけのお店で、入り口の近くに「海」にまつわる雑貨が少し乱雑にかざってありました。注文する段になって、なんだかコーヒーを頼むのは違うような気がして、何故か「ホットミルク」を頼みました。特に牛乳が好きだったわけでもないのに。中途半端に背伸びしてるように思われたくなかったんでしょうね、きっと(笑)。持ち手のついた細長いガラス製のマグに入ったそのミルクは、信じられないくらいに甘くて幸せな飲み物のように感じられました。家で普段飲んでるのと全然違います、と云ったわたしに目尻に皺をよせて微笑んだ寡黙なマスター。お顔は思い出せないけれど、その目のイメージとガラスのマグのカタチは、印象に残っています。

 もう一軒は、何度か行ったところなのでもう少し記憶が鮮明で、奥に一枚板の大きなテーブルのある、ログハウス風の喫茶店。ここのチョコレートケーキがとにかく濃厚で、3cm角くらいの小さなケーキなのに「いかにもチョコレート」な、どっしりと重みのある大人っぽい味でした。ちょっとづつフォークを入れながら、ゆっくりゆっくり楽しんだものです。お店を経営しているご夫婦は、余分なおしゃべりをしない、クールなタイプ。それでいて居心地はとてもよいお店でした。車でないと行けない場所だったので好きなときに行く、というような感じではなかったせいもあって、運転免許を取ったら、きっと通ってしまうかもなんて思っていましたっけ。でも、このお店もそれから2~3年で閉じてしまったようで、数回の代替わりを経て、今はドラッグストアになっています。街道沿いに建つその前を通るたびに、寂しい思いをしたのは数年前。残念なことに今はひとつの景色として、そのドラッグストアのほうが見慣れてしまったんですね。だから想い出すのは、その道を通ったときではなくて、コーヒーを淹れてる時だったり、オーブンからガトーショコラの香りが漂ってくる時だったり。いつか、「記憶」を頼りにそのチョコレートケーキを再現できたらいいなぁ、なんて思うのでした。

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by farine12 | 2008-03-04 16:19 | 想いの欠片/Pieces of My Mind | Comments(0)

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