感覚と観念

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 お菓子作りには「これを崩しては成り立たない」という絶対的な要素があります。長い歴史の中で受け継がれてきた配合であったり、名前であったりするわけですが、作り手の勝手で「このお菓子のこの部分と、あのお菓子のそれとを組み合わせて自分の名前をつける」なんてトンデモナイ!!ということもあるのです。「○○」と名乗るからにはこの条件を満たさなくてはいけない、というお菓子がたくさんあります。そういう、ちょっと形式ばったところを「面倒くさい」と取るか「へぇ、面白い」と受け取るかで、かなり印象が変わることでしょう。

 何も知らないがゆえに、特別な思い入れやこだわりが無かった頃のお菓子作りは、わたしにとって確かに気楽なものでした。今から思えば「よくあんなものを…」なんてお菓子もいっぱいありましたが、当時はそれで楽しかったのです。でもいろいろと勉強していくうちに、「決まりごと」の面白さと合理性に気づき始め、そのなかで「決まりごとのないお菓子」に関しては、思いっきりわたしらしさを追及しよう」と思うようになりました。

 「こうあるべきもの」は「あるべき姿」で受け継いでゆくもの。あえて妙なことをして「自分らしさ」をアピールしなくても、きちんと丁寧に作れば「作り手の思い」は自然とにじみ出てくるもの。ラッピングひとつでも自分らしさは表現できますしね。こだわり=頑固=観念的、とも云えるけれど、ある程度の規格がある中で一定の味・形にまとめていくのはまさに感覚的なもの。手の感覚、見た目の変化、オーブンの中で焼いている時の香り…理論と感覚の両方が初めてバランスよく重なった時の感動は今も覚えていますし、これからも常々実感できるよう、日々意識してお菓子作りにとりかかりたいなぁと思っています。

by farine12 | 2005-12-15 00:04 | 原点/Starting Points | Comments(0)

創作スタジオ粉工房のブログ。レッスンの様子や日々のあれこれを綴ります。


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