コーヒーの香り

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 いつから飲めるようになったのか具体的には覚えていないけれど、一日に1杯は必ず飲む、という習慣ができたのは二十歳過ぎてからだったように思います。紅茶一辺倒だったのが、作るお菓子のタイプによっては断然コーヒーが美味しい、と気づいたことがきっかけだったような…

 シンガポールで暮らした数年間のうちで、最後の1年は本当によくコーヒーを飲みました。地元の人たちの生活の一部になっている屋台で出てくるコーヒーはちょっと独特で、かなり濃く、コンデンスミルクが入った状態で出てきます。カフェラテをもっと濃く、甘く、牛乳っぽくないのにとろりとしたような感じ、といえばいいでしょうか。最初の頃は全く飲めなかったのが、次第とあの国の暑さのなかで、とても気候にマッチした飲み物なのだということに納得がいったのでしょうね。地元の人と「お茶をする」ときに、一緒になってコーヒーを頼むとまず珍しがられ、ついで喜ばれ、歓迎されます。外国人にはなかなか飲み慣れないと云われていた(当時の話しです)ので、「そうか、コレの味がわかるんだ~」と云わんばかりにみんなでニコニコ。

 ただ、味覚としては馴染んだものの、胃腸のほうはそうカンタンに変われなかったらしく、かなり体に負担がかかっていたようです。胃を押さえてうずくまること数回、しまいには友人・知人から「地元コーヒー禁止令」が出てしまいました。それ以来、空腹時には飲まないとか1週間に2杯まで、などと控えてるうちに、たまに飲むとかすかな違和感があったりで、少し寂しく感じたものです。

 普通のコーヒーでも、しばらく飲んでいないと無性に飲みたくなったり、相性の良い食べ物の香りが漂ってくると自動的に「コーヒーの香り」を感じたような気になったり。「香りと記憶」には深いつながりがあるのだと改めて考えさせられます。

 蒸し暑い昼下がりにコーヒーを入れていたら、ふと、シンガポールのコーヒーの香りと味を思い出し、なんだかとても懐かしく感じられたのでした。
 
by farine12 | 2005-08-21 23:09 | 幸せなお茶/Happy Tea Time | Comments(0)

創作スタジオ粉工房のブログ。レッスンの様子や日々のあれこれを綴ります。


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