幸せなことって?
2005年 04月 13日
子どもの頃に慣れ親しんだものって、どんなに大人になっても愛着があるものですよね。カタチあるもの以外でも、言葉や文章が特定のイメージと重なってインプットされている、なんてこともあると思います。今回はそんな、折につれて思い出す文章について。「くまのプーさん」からの引用です。
クリストファー・ロビンがプーに「プー、きみね、世界じゅうでいちばん、どんなことをするのが好き?」とききました。(中略)いろいろ思いあわせたあげくに、プーはこう答えました。「ぼくが、世界じゅうでいちばん好きなのはね、ぼくとコブタで、あなたに会いにいくんです。そうするとあなたが、『なにか少しどう?』っていって、ぼくが『ぼく、すこし食べてもかまわない。コブタ、きみは?』っていって、外は歌がうたいたくなるようなお天気で、鳥がないてるってのが、ぼくいちばん好きです。
—A.A.ミルン作「プー横丁にたった家」から—
舞台となったイギリスがどんよりとした曇り空が多く、晴れ渡った日がいかに少ないかとか、イギリス人が比較的ウィットに富んだ言い回しをするとか、背景を知ったのは10代後半になってから。それでも、そんなことは関係なく、ふたりのこの会話は大切な人と一緒に楽しい時間を共有する素晴らしさを象徴する言葉として、わたしの中に根づいています。(この章の後半で、クリストファー・ロビンが進学を控え、ぬいぐるみたちとの世界から人間の世界への一歩を踏み出す切なさも描かれています)
いつでも自分を暖かく迎えてくれる場所があるということ。そういう関係を築き上げること。
そしてゆったりとお茶タイムを楽しめること。かなり究極の幸せだと思うのですが。